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界面活性剤とは

界面活性剤とは

界面活性剤は身近な洗剤や化粧品、医薬品、食品、塗料、土木材料などいろんなところで利用されていますが、その働きは乳化や界面、表面などについて理解するとよくわかります。
界面活性剤の諸性質と濃度との関係(中西他「被服整理学」P.88、阿部「洗剤通論」P.90に基づき作成)
洗浄力曲線と起泡力曲線を比較すると、泡立ちが始まる濃度では洗浄力は十分ではなく、十分泡立つ濃度で最大の洗浄力が発揮されることが推測できます。

お互いに溶解しない「油」と「水」を強く混ぜ合わせると白く濁って乳のように見えるので、この現象を「乳化」といいます。

しかし、しばらくすればまた水と油に分離してしまいます。なぜ水と油は混ざり合わないのだろう。

水と油の間の境界面(界面)には、表面張力(界面張力)が働いていて、表面積を最も小さい球状にして安定しようとします。
※「界面」とは気体及び液体、固体が互いに接する境界面で、空気中での液体や固体の外側の部分は、一般的に「表面」といいます。
※「表面張力」と「界面張力」の意味は同じで、一般的に、気体と液体の界面の間における力を特に表面張力といい、それ以外の間に働く力を界面張力といいます。

水と油は、界面張力が強いため水は水同士、油は油同士まとまって、界面の面積を最小にしようとするため混ざり合わないのです。

お風呂の鏡が曇るのは小さな水玉が鏡表面に無数にくっつくことが原因ですが、水の表面張力のなせる業なのです。

汗や泥、ほこりなど水溶性の汚れは水で洗い流すことができますが、皮脂などの油性の汚れは水に溶けないため、水だけでは落とすことができません。

水と油の界面張力を下げる(乳化効果の大きい)物質を界面活性剤といいます。

乳化剤は界面活性剤と同義語で、一般的に食品の場合は「乳化剤」、洗剤や化粧品の場合は「界面活性剤」と表示されます。

界面活性剤は、この界面に働いて界面の性質を変え、水と油を混じり合わせることができるのです。

界面活性剤の分子は特徴的な形をしています。1つの分子の中に、水になじみやすい部分(親水基)と水になじみにくい部分(疎水基)があり、一般的には下図のようなマッチ棒の形の模型で示されます。
石けん(ステアリン酸ナトリウム)の構造
界面活性剤の作用(1) 界面吸着と表面張力の低下
界面活性剤を水に溶かすと、疎水基の部分は水となじみにくいので、水から逃げようとします。 そうして、水の表面では、疎水基を空気のほうに向けて並びます。また、容器と水との境目では、疎水基を容器のほうに向けて並びます。 水の中に油や固体があれば、それに疎水基を向けます。 

このように、界面活性剤は、水と空気の境目や、水と固体の境目、水と油の境目のような界面に吸着するという性質があります。 界面への吸着の結果、界面の性質がいろいろに変化します。 

界面の性質の変化のひとつに、表面張力の低下があります。 表面張力というのは、簡単にいえば、水滴が丸まろうとする力、つまり、界面の面積をできるだけ小さくしようとする力のことです。 この表面張力が小さくなると、水滴があまり丸まらずに広がるので、ものが濡れやすくなり、 洗うためには都合のよい状態になるのです。 

界面活性剤の作用(2) ミセル形成と可溶化 

界面活性剤分子がこれ以上界面に吸着できなくなってから、さらに界面活性剤の濃度を上げるとどうなるでしょうか。 

水から逃げようとする疎水基は、もう吸着できる界面がないので、疎水基同士で集まって水を避けるしかありません。こうして、界面活性剤分子は、疎水基を内側に、親水基を外側(水のある側)に向けて、集まりはじめます。 この界面活性剤の集合体をミセルと呼びます。そして、ミセルができはじめる濃度を臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、略してCMC)と呼びます。

 ※    同じくCMCですが、混同しないでください。 
・カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose, CMC) 
 天然パルプ由来のセルロースを加工して作られた増粘安定剤 
・ 薬学用語のCMCはChemistry,Manufacturing and Controlの各頭文字を取った略語 

ミセルは、中心部が疎水性、つまり油となじみやすい性質であるので、水に溶けにくい油性の物質を、ミセルの内部に取り込むことができます。この現象を可溶化と呼びます。
 可溶化は、洗浄に寄与する界面活性剤のはたらきの一つです。

界面活性剤の作用(3) 乳化と分散 

水と油を混ぜて振ると、一時的に混ざりますが、すぐに分かれてしまいます。 ところが、そこに界面活性剤を入れて振ると、白く濁ったようになって、混ざってしまいます。 この現象は乳化と呼ばれます。

水と油の間の界面には、表面張力がはたらいています。 混ざっているときには、水の中にたくさんの油滴ができているので、界面の面積がとても広くなっています。 表面張力が強いと、界面の面積はできるだけ小さくなろうとするので、水は水同士、油は油同士まとまって、界面の面積を最小にします。 ところが、界面活性剤が溶けていると、表面張力が小さくなるので、たくさんの油滴ができて界面の面積が広いままでも、安定していられるようになるのです。 

乳化しているとき、油滴と水の間の界面には、疎水基を内側(油側)に、親水基を外側(水側)に向けて、界面活性剤の分子が吸着しています。 可溶化と似ていますが、油滴はミセルよりもはるかに大きく、目に見える規模の粒なので、油が可溶化している液は透明に見え、油が乳化している液は白く濁って見えるという違いがあります。 

乳化と似た現象で、分散というのがあります。 

すすなどの固体の粒子を水に入れて振ると、油のときと同じように、粒子同士が集まって水と分かれようとするのですが、 界面活性剤を入れて振ると、粒子の周りに界面活性剤の分子が吸着して、水の中に散らばって安定になります。分散とはこの現象をいいます。 

乳化について最もわかりやすいのが、ドレッシングとマヨネーズの例です。
ドレッシングの材料は油と酢で、強く振ると一時的に乳化しますが、しばらくするとまた油と酢に分離してしまいます。マヨネーズの材料は油と酢と卵ですが、酢と油に卵が加わると、卵黄に含まれるレシチンが乳化剤として働いて乳化がキープされるのです。 

乳化とは、水の中に油が、もしくは油の中に水が分散している状態ですが、水の中に油の粒が浮かんでいる状態を水中油滴型(O/W)とか水中油型エマルション(英: emulsion)といい、油の中に水の粒が浮いている状態を油中水滴型(W/O型)とか油中水滴型エマルションといいます。 食品では牛乳、ドレッシングや生クリームが水中油滴型、バターやチーズが油中水滴形です。 

上記のように乳化されたものは食品以外にも、医薬品や化粧品に使われるクリーム、塗装に使用される塗料接着剤など私たちの身近にたくさん存在しています。

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